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親の施設を考え始めたとき、「ケアマネさんに施設探しを頼んでいいのだろうか」と迷う方は多いと思います。
私は介護の仕事を20年続けてきました。その中で、居宅のケアマネジャーとして、家族から施設選びの相談を受けたことがあります。その前には、特別養護老人ホームで介護職として働いていました。
相談を受けた側として、私が実際にしていたことと、家族が気にしていたことを書きます。
結論。ケアマネとして私がしていたのは、施設の種類の説明と見学先の候補出し
先に結論を書きます。
施設選びの相談を受けたとき、私がしていたのは次の2つです。
- 施設の種類を説明すること
- 見学先の候補を出すこと
一方で、特定の施設を強く勧めることはしませんでした。理由は、あとで書きます。
私が説明していた施設の種類
相談を受けたときに、主に説明していたのは次の施設です。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 有料老人ホーム
- グループホーム
- ケアハウス
特養は、原則として要介護3以上
特養は、2015年4月から、入所できるのが原則として要介護3以上の方になりました。要介護1・2の方でも、やむを得ない事情があるときは特例で入所できる場合がありますが、原則は要介護3以上です。
(出典:厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」を踏まえた広島県の案内) https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/64/nyuusyosisin.html
特定の施設を強く勧めなかった理由
私は、特定の施設を強く勧めることはしませんでした。
居宅のケアマネは、施設のケアマネではありません。施設の中で毎日どんなふうに過ごしているのか、職員の様子はどうか、といった内情を詳しく把握できているわけではなかったからです。
知らないことを、知っているように勧めることはできませんでした。だから、候補を出したうえで、家族に見学してもらうようにしていました。
相談で、家族が気にしていたこと
相談を受けていて、家族が気にしていたことは大きく2つでした。
子どもの家から近いか
1つは、子どもの家から近いかどうかです。
関係性の良い家族の場合、施設に入った自分の親の面会に行く際の距離は、とても大切になります。そのため、この点を質問されることがありました。
毎月の費用
もう1つは、毎月の費用です。
介護度が上がると、料金も上がる傾向にあります。そのため、親の年金や貯金では対応しきれなくなる場合があります。
距離を気にされるかどうかは親子の関係性にもよりましたが、費用については、よほど余裕のあるご家庭を除いて、ほとんどの家族から質問がありました。
近さと費用、どちらを優先するかは、ケースバイケースでした。近さを選ぶ家族もいれば、費用を選ぶ家族もいました。
「介護度をなんとかならないか」と言われたこともあった
費用のことで、「認定調査で介護度がなんとかならないか」と相談されたことがあります。
前の節で書いたように、介護度が上がると料金も上がる傾向にあります。そのため、介護度が上がらないようにしてほしいという相談もあれば、反対に、介護度を上げてほしいという相談もありました。
特養に入るために、介護度を上げてほしいと頼まれたこともあります。特養は原則として要介護3以上でないと入れないからです。
私は認定調査員の経験もあります。ただ、調査員として調査をしても、介護度を決めるのは審査です。ケアマネや調査員が決められるものではありません。
家族からそういう話があったときは、認定調査員に忘れずに伝えるようにしていました。
特養で働いていた立場から、見てほしいところ
ここからは、特養で介護職として働いていた経験からの話です。
見学のときには、職員の利用者に対する対応の様子と、施設の中が明るいかどうかを見てほしいと思っています。
職員の利用者に対する対応
デイサービスや訪問介護と違い、入所となると、職員と24時間365日ともに過ごすことになります。そのため、職員の利用者に対する関わり方が、必要以上に馴れ馴れしい感じになっていることがあるからです。
見学のときに分かりやすいのは、ため口と、あだ名で呼んでいるかどうかです。
ただし、言い切れるわけではありません。下の名前で呼んでいるのは、同じ名字の利用者さんを区別するためかもしれません。
あだ名で呼んでいても、親しみやすい人柄の利用者さんに限ってのこともあります。気になったときは、その場で職員に聞いてみてもよいと思います。
施設の中の明るさ
施設の中が暗かったり、汚れていたりすると、それだけで気持ちが滅入るからです。
さらに掃除も行き届かないくらい、職員が不足していたり、激務になっているのかもしれない、との判断基準にもなります。
終の棲家になることもある
施設は、終の棲家になることもあります。そう考えると、そこで働く職員の様子や施設の雰囲気は、大切だと思います。
施設に入ったら、ケアマネは変わる?
私が相談を受けて入居が決まったときは、施設のケアマネにバトンタッチしていました。そのため、入居したあとにその家族がどうだったかを、私は知ることができませんでした。
ただし、ケアマネが変わるかどうかは、施設の種類によって違います。
- 特養やグループホーム、介護付きの有料老人ホームなどは、施設側のケアマネ(計画を作る担当者)がケアプランを作ります
- 住宅型の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、一般型のケアハウスなどは、自宅と同じ扱いになり、それまでの居宅のケアマネが続けて担当することもあります
入居を考えている施設がどちらなのかは、見学のときに確認しておくと安心です。
ケアマネが施設を探してくれないと感じたら
ケアマネに相談しても、思っていたほど施設探しが進まないこともあると思います。
ケアマネの主な仕事は、在宅で暮らすためのケアプランを作ることです。施設探しは相談に乗れますが、空き状況をすべて調べたり、入居の手続きまで代わりにしたりするわけではありません。
進まないと感じたら、まず「子どもの家からどのくらいの距離までか」「毎月いくらまでなら払えるか」など、希望をはっきり伝え直してみてください。それでも難しいときは、地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談する方法もあります。
候補を比べたいときは
施設の候補を集めて比べたいときは、ケアマネに相談するほかに、老人ホームを紹介するサービスを使う方法もあります。
ケアマネは、本人の体の状態や今の暮らしを知ったうえで、施設の種類を一緒に考えられます。一方、紹介サービスは、たくさんの施設の情報から資料をまとめて取り寄せたり、見学の予約をしたりするためのものです。役割が違うので、両方を使うこともできます。
紹介サービスを使う場合でも、最後は見学して、職員の利用者への対応や施設の明るさを自分の目で確かめてください。
まとめ
ケアマネに施設探しを相談することはできます。居宅のケアマネだった私がしていたのは、施設の種類の説明と見学先の候補出しでした。特定の施設を強く勧めなかったのは、施設の内情を詳しく知っているわけではなかったからです。
相談を受けていて、家族が気にしていたのは、子どもの家から近いかと、毎月の費用でした。費用については、ほとんどの家族から質問がありました。どちらを優先するかは、家族によって違いました。
費用のことで、介護度を上げてほしい、上がらないようにしてほしいと相談されることもありました。ただ、介護度を決めるのは審査で、ケアマネが決められるものではありません。
そして、特養で働いていた立場から言えば、見学では職員の利用者への対応と施設の明るさを見てほしいと思います。