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「介護 向いてない 辞めたい」と検索すると、向いていない人の特徴を並べた記事が出てきます。
- 融通が利かない人
- 予定外のことに対応できない人
- 自分の思い通りに進めたい人
私は、そういう記事を書くつもりはありません。
先に結論を書きます。
結論。私は向いていない。それでも20年続いた
私は介護職として20年働いて、5回転職しました。
そして今も、自分はこの仕事に向いていないと思っています。
適性があったから続いた、という話ではありません。
向いていないと思いながら、辞めずに20年経ちました。
「向いていない=辞めるべき」ではない。
これがこの記事で書きたいことです。
私が「向いていない」と思う理由
大きく3つあります。
順番に書きます。
① 高齢者と向き合う意味が、当時は分からなかった
正直に書きます。
最初に就職した特別養護老人ホームにいたころ、私は、
「高齢者には未来がない」
と思っていました。
当時の私は、利用者が少しずつできないことが増えていく姿を見る中で、自分の仕事が何につながっているのか分からなくなっていました。
毎日介助をする。
また次の日も介助をする。
それを繰り返す中で、自分がやっていることに意味を見いだせなくなっていました。
でも、今はそう思っていません。
きっかけの一つは、子どもが生まれたことでした。
利用者の中には、私に子どもが生まれたことを、自分のことのように喜んでくれる人もいました。
そこから、子育てについて話す機会が増えました。
会話をしていると、
- 出産
- 医療
- 衛生面に対する考え方
- 男性の育児参加
- 子育て支援
など、今とは大きく違う時代を実際に生きてきた人の話を聞くことができます。
自分が父親になったことで、その話を以前とは違う感覚で聞くようになりました。
今では当たり前になっている制度や環境も、昔から存在していたわけではありません。
今の社会は、その時代を生きてきた人たちの歴史の上にあります。
自分の子どもがこれから生きていく社会も、その延長にあります。
そう考えるようになってから、目の前の利用者の見え方が少し変わりました。
性格が大きく変わったわけではありません。
当時の私は、それくらい仕事に意味を見いだせなくなっていたのだと思います。
② 説明しても納得してもらえない場面が、苦手だった
強く言われる場面が、私は苦手です。
これは今も変わりません。
ケアマネジャーをしていたとき、利用者家族への制度説明をめぐって、認識の食い違いが起きたことがあります。
私は自分なりに制度について説明しました。
しかし、最後まで納得してもらうことができず、結果的に担当を外れることになりました。
ここで誰が悪かったのかを書きたいわけではありません。
この経験で分かったのは、
私は相手との認識が食い違った状態で、何度も説明を重ねるような場面がかなり苦手だ
ということです。
介護の仕事では、利用者本人だけではなく、家族と話す機会もあります。
ケアマネになると、その機会はさらに増えました。
制度上できることと、相手が希望することが一致しない場合もあります。
私は、そういう場面をうまく調整することが得意ではありませんでした。
③ 自分の考えを、人に伝えることが苦手だった
これも、長く働く中で何度も感じてきたことです。
以前の私は、
時間内にできるだけ仕事を終わらせたい
と考えていました。
理由は、単純に早く帰りたいからだけではありません。
残業が続けば疲労がたまる。
疲労がたまれば、利用者への対応にも影響する。
だから、できるだけ時間内に仕事を終わらせることも、長く働くためには必要だと思っていました。
一方で、
「時間がかかっても、目の前の利用者への対応を優先したい」
という考え方もあります。
どちらか一方だけが正しいとは思っていません。
ただ、職場では意見が違うことがあります。
私は、自分の考えを相手が納得できる形で伝えることが得意ではありませんでした。
副主任になっても、変わらなかった
立場が変われば違うのかと思ったこともあります。
しかし、副主任になって職員に仕事をお願いしたり、業務の変更を伝えたりする立場になると、別の難しさが出てきました。
自分では必要だと思っていることでも、相手が同じように考えているとは限りません。
思うように進まないことに苛立ち、職員とぶつかったこともあります。
今振り返ると、相手だけの問題ではありませんでした。
私の伝え方にも問題があったと思っています。
私は人付き合いが得意ではありません。
指示を受ける側でも、出す側でも、うまくいかなかった経験があります。
だから今は、
意見の中身が正しいと思っているだけでは、人には伝わらない
と考えるようになりました。
それでも、なぜ辞めていないのか
向いていないと思っているなら、介護を辞めればいい。
そう思われるかもしれません。
実際、私は介護以外の道も探しました。
保育士の資格を独学で取った
一度介護を離れたとき、子どもと関わる仕事をしていました。
その延長で、保育士の資格を独学で取りました。
その後、3つの園を受けましたが、すべて不採用でした。
面接を受けながら、保育の仕事についても考えるようになりました。
保育の現場にも、当然ですが保護者とのやり取りがあります。
私は介護の仕事をする中で、
相手との認識が食い違った状態で調整を続けることが苦手
だと感じていました。
業界を変えても、自分の苦手なことがすべてなくなるわけではない。
そう考えるようになりました。
簿記も、TOEICも途中でやめた
介護以外の可能性を考えて、別の勉強もしました。
簿記を勉強しました。
TOEICは605点まで取りました。
ただ、どちらもそのまま転職につながるところまでは続けませんでした。
勉強しながら、
「自分は何から離れたいのだろう」
と考えるようになったからです。
介護という仕事内容だけが嫌なのか。
それとも、組織の中で人間関係を作り、指示を受けながら働くことそのものに苦手意識があるのか。
私の場合は、後者もかなり大きいと気づきました。
だとすれば、業種だけ変えても同じ悩みが出る可能性があります。
そのことに気づいてから、資格を増やすことだけで解決しようとは考えなくなりました。
実際に介護業界を離れたこともある
勉強しただけではありません。
私は一度、介護業界そのものを離れています。
子どもと関わる仕事と販売の仕事を、合わせて2年ほど経験しました。
そして、介護に戻りました。
戻った理由は、
「やっぱり介護には素晴らしいやりがいがある」
と気づいたからではありません。
実際に外で働いてみて、介護以外の仕事にも自分にとってつらい部分があると分かったからです。
介護だけが大変なわけではありませんでした。
※あわせて読む:介護職を辞めて異業種で2年働いた結果、介護に戻りました
探した上で、介護に残っている
だから、私は何も考えずに惰性で20年続けてきたわけではありません。
資格を取りました。
面接も受けました。
実際に介護業界の外でも働きました。
その上で、今も介護職として働いています。
向いているから残ったわけではありません。
自分が働くうえで、何なら耐えられて、何なら耐えられないのか。
それを考えた結果、今も介護の仕事をしています。
向いていなくても続く職場には、条件がある
「向いていなくても20年続いた」と書きました。
ただし、どんな職場でも続けられたわけではありません。
私は5回転職しています。
今の職場は、以前の職場より長く続いています。
何が違うのかを考えてみました。
私の場合、この4つだった
私が長く働くために重要だったのは、
- 有給休暇を取りやすい
- ほぼ定時で帰れる
- 職場の雰囲気が過度に張り詰めていない
- 家庭の事情に対応してもらいやすい
ということでした。
並べてみると、介護技術そのものは一つも入っていません。
やりがい。
専門性。
キャリア。
もちろん、それらを大切にする人もいると思います。
ただ、私が長く働くために必要だった条件は別のところにありました。
条件を絞りすぎて選んだこともある
以前、介護現場に戻るときには、給与面と「一人で仕事を抱え込まなくていいこと」を特に重視して職場を選んだことがあります。
その条件自体は満たされました。
しかし、実際に働くと、勤務時間外の集まりなど、自分には合わない部分もありました。
最終的に、その職場も辞めています。
この経験から、
希望する条件を満たしているだけでは、自分に合う職場とは限らない
と分かりました。
給与だけでもありません。
勤務時間だけでもありません。
仕事内容だけでもありません。
自分が長く働くために何を重視するのかを、ある程度まとめて見る必要がありました。
※あわせて読む:ケアマネを辞めて介護現場に戻った結果
「向いている・向いていない」は固定ではない
ここが、この記事で一番書きたい部分です。
「介護に向いていない人」を検索すると、性格や特徴について書かれた記事がたくさん出てきます。
読むと、
「自分はいくつ当てはまるだろう」
と考えたくなります。
でも私は、
向き不向きは、性格だけで決まるものではない
と思っています。
私自身、仕事の見え方が変わった
「高齢者には未来がない」と思っていた時期がありました。
今は同じようには考えていません。
性格そのものが別人のように変わったわけではありません。
自分の状況や経験が変わりました。
子どもが生まれました。
利用者との会話の受け取り方も変わりました。
仕事に対する見え方も変わりました。
同じ人間でも、置かれている状況によって仕事の見え方は変わります。
消耗していると、「向いていない」と感じることがある
特養で働いていたころ、私はかなり余裕をなくしていました。
利用者への言葉が短くなり、自分でも以前より対応が雑になっていると感じていました。
そして、
「この仕事は自分に合っていない」
と思うようになりました。
今振り返ると、あの時期については、
向き不向きだけで説明できる状態ではなかった
と思っています。
かなり消耗していました。
だから、
「介護に向いていない」
と思ったときに、すぐ適性の問題だと決める必要はありません。
今の職場で疲れ切っているだけなのかもしれません。
介護に向いてないと感じたとき、私ならこの順番で考える
20年働いた今なら、まず次の3つを分けます。
① 向いていないのか、消耗しているのか
最初に見るのは、自分の状態です。
私の場合は、
- 利用者への言葉が以前より短くなった
- 自分でも対応が雑になっていると感じた
- 高齢者と関わること自体がつらくなった
という変化がありました。
こうした状態なら、
「介護に向いているか」
を考え続けるより、まず休む、相談する、働き方を見直すなど、今の状態から距離を取る方法を考えた方がいいと思います。
※あわせて読む:介護職を辞めたいのは甘え?5回転職した私が思うこと
② 介護そのものが合わないのか、今の職場が合わないのか
次に分けたいのが、ここです。
身体介護そのものがつらいのか。
夜勤がつらいのか。
入浴介助がつらいのか。
レクリエーションがつらいのか。
人間関係がつらいのか。
残業がつらいのか。
同じ「介護職」でも、職場によって仕事内容はかなり違います。
私は実際に、夜勤のある職場から夜勤のない職場へ移りました。
入浴介助のない職場で働いたこともあります。
レクリエーションのない職場でも働きました。
だから、
今つらい仕事が、介護職ならどこでも同じとは限りません。
介護そのものを辞める前に、
「自分は介護が嫌なのか」
「この職場の、この仕事が嫌なのか」
を分けて考える価値はあると思います。
③ 自分が続くために必要な条件は何か
最後は、自分の条件です。
私の場合、
- 有給を取りやすい
- 定時で帰りやすい
- 職場の雰囲気が過度に張り詰めていない
- 家庭の事情に対応してもらいやすい
ことが重要でした。
人によって違います。
給与を最優先する人もいます。
夜勤がないことを優先する人もいます。
人間関係を重視する人もいます。
大切なのは、
自分が何を優先するのかを言葉にしてから次の職場を見ること
だと思います。
私はそれを十分に整理せず職場を選び、後から自分には合わない部分に気づいたことがあります。
※あわせて読む:介護の転職エージェントのデメリット|担当者次第で大きく変わった実体験
まとめ。向いていないと思っても、すぐ辞める必要はなかった
介護に向いていないと思いながら、私は20年働いています。
今でも、
「自分は介護職に向いている」
とは思っていません。
でも、20年間ずっと同じ気持ちだったわけでもありません。
仕事の見え方が変わったこともあります。
介護以外の仕事も経験しました。
転職も5回しました。
その中で分かったのは、
「介護に向いているか」だけでは、続けられるかどうかは決まらない
ということでした。
私の場合、
- 高齢者と向き合う意味が分からなくなった時期があった
- 相手との認識が食い違った状態で調整することが苦手だった
- 自分の考えを人に伝えることも得意ではなかった
という部分があります。
一方で、
- 保育士資格を取得して別の仕事も検討した
- 簿記や英語も勉強した
- 実際に介護業界を離れて約2年間働いた
- それでも介護に戻った
という経験もしました。
その上で今も介護職として働いています。
私が長く続けるために必要だったのは、
「向いている仕事を見つけること」より、「自分が続けられる条件の職場を見つけること」
だったのだと思います。
だから、今「介護に向いてない。辞めたい」と感じているなら、
いきなり、
「自分には介護の適性がない」
と決めなくてもいいと思います。
まず、
今の自分が消耗しているのか。
次に、
介護そのものが嫌なのか、今の職場が嫌なのか。
そして、
自分が働き続けるためには、何が必要なのか。
この順番で分けてみる。
それでも介護そのものが合わないと思えば、異業種を検討する選択肢もあります。
反対に、
「介護そのものではなく、夜勤や残業、この職場の働き方がつらい」
と分かったなら、同じ介護でも別の働き方を探す余地があります。
私は一人で職場を選んで、条件の見方を間違えたことがあります。
だから今なら、求人票だけで判断せず、自分でも調べながら、必要であれば転職サービスなども使って複数の職場を比較します。
転職エージェントも情報収集の方法の一つですが、担当者によって情報量や対応には差があります。
「自分は介護に向いていない」と決める前に、「今とは違う介護の働き方があるのか」を知る。
20年働いて5回転職した今なら、私はそこから始めます。
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